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輪廻 序章

 
 それは懐かしい過去の記憶。失ってしまったぬくもり。
何も知らずに、ただ日々を過ごしていた頃の記憶。
私と姉様と兄様と。そしてあの人と。運命のあの日まで、私は血塗られた事実を知らなかった。
遠い昔の記憶。時折そっと思い出す。


「ねえ、空ってどんな色をしてるのかな。」
「空はとても青い色、きっと空を見ることができますよ。」

                  外へ出ることなど夢物語でしかなかった。


 「我ら三守(さんしゅ)魂の滅びるそのときまで。」

                 それは魂の束縛、魂尽きるまでの呪縛。


 「一人にして・・・・ごめんね・・・」

                 あなたが謝ることなど何もない。


「これからどうするんだい?」
「外の世界を見に行く。」 

                 私は外の世界へ飛び立っていく。


「なにしてるんだ?」
「お前、私が見えるの?」

                 己の罪を知らず、ただ世界をさまよった。 


「契約を交わそう。お前の剣となり盾になろう」 

                それを望んだのは私。


「妾は・・・どうすればいい?」
「自らの意思で動くがいい、心を縛ることは誰にも出来ないのだから。」

                 やっと手に入れた自由は不安ばかりで。 


「名がないのなら、妾がつけても良いか?」 

                それは私だけのもの。私を示す唯一のもの。 


「また会おうな。蔵馬。」 

                出会いは輪廻を呼ぶ。再び巡るために。 




 私は鎖に縛られている。けれど私は自由を求める。
そのために、私は進む。いつの日か出会うことを信じて。
死んだ人は帰らない。壊れたものは戻らない。それでも私は彼らを待ち続ける。
たとえどんなに長い時が過ぎても私は自分の道を進もう。
幼い時に夢見た自由、あこがれた幸せ。願い続け、行動した時、きっと何かが変わっている。
たとえ銀の破壊者と呼ばれようとも私の思いは変わらない。未来のいつかを信じ続けたい。


 私の名は蔵馬。輪廻を巡るもの。

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